私たちは脳の働きには驚くべきものがあると教えられてきました。脳には即座に正確な判断をするために1000億個の脳細胞が複雑で精巧な仕組みでできあがっているとか、新聞には毎日のようにニューロンの集まりを賞賛する記事があり、科学誌にはそれらのネットワークによる素晴らしいチームワークについての新しい驚異的な発見が次々と報告されています。
しかしその発達した脳が、私たち人間をおかしくしているのです。人間の脳は高度に進化した結果、自分の報酬系さえ満足すれば、結果は人間の正常な精神状態がどうなってもよいというようになったのです。
たとえばヒト以外の動物は恋愛しないそうですが、もともとは腸内細菌間の伝達物質であったドーパミンというホルモンが脳に出現すると、これが脳を覚醒させ興奮状態にし、快感を誘ったり創造性を発揮させたりします。恋愛をすると、その刺激で初めはドーパミンが脳にたくさん出ます。そうすると将来の幸福を追求するよりも、短絡的な目先の快楽を重視するようになります。恋愛中の人間は、生物としてちょっとおかしな状態になっているのです。
(「脳はバカ、腸はかしこい」より引用)
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