●フランスで遺伝子組み換えブドウ
ブドウが収穫され、新しいワインが店頭に出る季節となった。ワインはフランスが“本場”ということになっているが、そのフランスで今、遺伝子を組み換えたブドウの栽培が密かに行われているらしい。と言っても、9月27日付の『ヘラルド朝日』紙がそれを報道しているのだから、もう「密かに」というわけにはいかない。遺伝子組み換え作物はアメリカでは盛んに作られているが、ヨーロッパ人はそれを“フランケン作物”などと呼んで毛嫌いしてきた。しかし、科学者の考え方には米欧の区別はないのかもしれない。
シャンパンのメーカであるメーシャンドン(Moet & Chandon)は、ブドウのウイルス病に対する耐性をつけるために、1990年代から遺伝子組み換え技術を使った研究を進めてきたという。現在は、フランス農業試験研究所(National Institute for Agronomic Research)がライン川の近くの農場で、組み換え種のブドウを台木とした品種70本の生育実験をしているらしい。このブドウにつくウイルスは、フランスのブドウ畑の三分の一に存在していて、これが発病すると葉は黄色くなって、実を結ぶ前に花は枯れてしまうという。そこで科学者たちは、農薬を大量に撒いてウイルスを運ぶ虫を殺したり、ウイルスに感染した畑を破壊してウイルスが死滅するまで10年間も待つよりは、ウイルスに耐性をもつ遺伝子組み換えを行った台木に、従来種を接木するのがいいと考えたのだ。
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