ミュータンス菌(長尾周格)
むし歯の原因菌は、かつてはミュータンス菌であるといわれていました。
そしてこのミュータンス菌をはじめとする口腔内常在菌は、2歳まででその菌種がほぼ一定となり、それ以降に入ってくる菌は定着しなくなるという説がありました。
ですから2歳までは口移しで子供に食べ物をを与えたり、スプーンなどの食器を共用しないようにすれば、ミュータンス菌は感染せず、その子は一生むし歯にならなくなるといわれたことがありました。
まあ、全くのウソですけどね。
厄介なのは、このウソ情報がテレビで放映されたという事です。
テレビというのは今も昔も洗脳のために存在しますから、ウソにまみれているのはいつもの事ですが、無知なアホウ共がいまだに信じていたりするんで困ったものです。
まず、ミュータンス菌といっても様々な種類があり、今ではミュータンス属(mutans streptococci)とよばれています。
このミュータンス属の細菌で特にむし歯を作りやすい菌としてStreptococcus mutansやStreptococcus sobrinusなどがあります。
また乳酸菌もむし歯の原因菌として知られており、Lactobacillus caseiやL. fermentum、L. plantarum、L. asidoophilusなどがあります。
他にも複数のむし歯の原因菌がありますので、単純にミュータンス菌を感染させなければ良いというものではありません。
そして2歳までに口腔内細菌叢が形成され、それ以降は他の細菌は感染しなくなるというのもウソです。
実際に病原性の強い歯周病原細菌の感染が夫婦間で起こっているという報告もあります。
口腔内細菌叢は生涯にわたって変化していくものなのです。
そして生涯にわたってむし歯の原因菌を一切感染させないという事は、およそ現実的ではありません。
そもそも人間は、様々な菌と共生して生きる生き物ですから、口腔内に様々な菌がいることが当たりまえであり、菌がいるからむし歯になるわけでは決してありません。
むし歯になりたくないのなら、砂糖を摂らなきゃ良いでしょう。
甘い物を避けること以上に有効なむし歯の予防法など、ありませんから。
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